私は本を読むのが苦手です。
小さい頃から「本は読まない子」で、国語も苦手。
作文も、読書感想文も、とにかく嫌いでした。
おすすめされた本を買っても、読めない。
途中で止まる。
そして、積みっぱなしの「読む候補」の山だけが増えていく。
たぶん、本を読むのが苦手な人には、この光景、心当たりがあると思います。
「本を読みなさい」と言われたあの日
高校卒業前、当時の英語の先生がこんなことを言いました。
社会に出ると、周りがたくさん本を読んでいて
知識の違いに驚くよ。だから、本を読みましょう。
その言葉が、ずっと心のどこかに残っていました。
だから私は何度も本を手に取ったけれど、やっぱり読めない。
「読めない自分」は、努力不足なんだと思っていました。
オーディブルとの出会い
そんな私が変わったのは、オーディブルに出会ってからです。
読む、ではなく「聞く」。
これが驚くほど合っていました。
家事をしながら、移動しながら、ただ耳を傾けるだけ。
そして今回、あっという間に上下巻を聞き終えてしまった本が
**村田沙耶香さんの『世界99』**でした。
引き込まれた理由
正直に言うと、びっくりしました。
こんなに一気に物語に引き込まれたのは久しぶりです。
主人公・如月空子は、
〈トレース〉と〈呼応〉を使って、
その場その場に合った人格を作り、生き延びていく人。
不気味なのに、目が離せない。
そして、気づいてしまいました。
――これ、完全に他人事じゃない。
私も、人間関係の中で
「安全で、楽ちんな自分」を無意識に選んできた気がします。
クリーンな世界への違和感
この物語では、
男尊女卑から男女平等へ、
不公平からクリーンへ、
社会がどんどん「正しさ」を更新していきます。
でも、その裏で、何かが犠牲になっている。
一見クリーンなのに、
どうしても拭えない本能的な違和感。
生まれた時からクリーンな世界に生きていたとしても、
それは本当に「完全なクリーン」なのか。
クリーンって何?
理想って何?
聞き終わったあとも、頭の中でずっと考えていました。
本が読めなかった私でも
私は今でも、本を読むのが得意になったとは思っていません。
きっと、紙の本はこれからも積まれ続けます。
それでも、
「物語に触れる方法」は一つじゃなくていい。
そう思えたことが、私にとっては大きな変化でした。
もし、
本が読めない自分を責めている人がいたら、
『世界99』はもちろん、
「聞く読書」も選択肢に入れてみてほしいです。
本の世界は、
読む人だけのものじゃありませんでした。


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